20代で投資をはじめるのは将来のために非常に重要です。しかし、初めての投資は不安がつきもの。
ここでは、初心者でも安心して始められる自己流投資ルールを紹介します。
自己流投資ルールの重要性
投資を始める際、自己流の投資ルールを確立することは非常に重要です。ルールを持つことで、感情に左右されず、一貫した投資判断ができるようになります。例えば、市場が急落したときにパニック売りを避けることができ、冷静に対処できます。また、自己流のルールを守ることで、長期的な視点を持ちやすくなり、短期的な市場変動に振り回されることなく、計画的に資産を増やすことができます。
さらに、自己流の投資ルールは、個々のリスク許容度や投資目標に基づいて作られているため、自分に最適な投資戦略を実践できます。ルールを設定することで、投資の目的や目標が明確になり、無謀な投資行動を避けることができます。
今回は長期的な投資戦略をとることができる20代に向けた投資ルールを紹介します。
ルール1:生活防衛費を確保する
生活防衛費とは何か?
生活防衛費とは、予期せぬ事態に備えて確保しておく現金のことです。失業や緊急の医療費など、収入が一時的に途絶えたり、突然の出費が発生した場合に、生活を維持するための費用です。
一般的には、3~6ヶ月分の生活費が目安とされています。これを確保することで、安心して投資に取り組むことができます。
生活防衛費の計算方法
生活防衛費を計算するためには、まず月々の生活費を把握することが重要です。家賃、食費、水道光熱費、通信費、交通費、保険料など、固定費と変動費を合計し、月ごとの平均額を出します。この金額に、予期せぬ出費(医療費や修理費など)を加味しておきます。
次に、これらの合計額を3~6倍にして、生活防衛費の目安を算出します。例えば、月々の生活費が20万円の場合、最低でも60万円(3ヶ月分)、理想的には120万円(6ヶ月分)を生活防衛費として確保します。この金額を現金やすぐに引き出せる口座に置いておくことで、突然の収入減や予期せぬ支出に対処できる準備が整います。
生活防衛費をしっかりと確保することは、安心して投資を始めるための第一歩です。これにより、投資におけるリスクを冷静に受け止め、長期的な視点で資産形成を進めることができます。
ルール2:投資をする目的を決める
投資目的の設定方法
みなさんは何のために投資をしようと考えていますか?投資を成功させるためには、明確な目的を設定することが重要です。まず、自分が何のために投資をするのかを考えましょう。投資の目的には、短期、中期、長期の目標があります。
短期目標は、1年以内に達成したいものです。例えば、旅行費用や新しいガジェットの購入資金などが該当します。短期的なリターンを求めるため、比較的リスクの低い投資商品を選びましょう。
中期目標は、1~5年以内に達成したいものです。例えば、結婚資金や留学費用の準備がこれに当たります。リスクとリターンのバランスを考慮し、中期的な成長が見込める投資先を選びます。
長期目標は、5年以上先の目標です。例えば、住宅購入や老後資金の準備が該当します。長期的な成長を期待して、株式や投資信託などに投資するのが一般的です。
目標を具体的に設定することで、投資計画が明確になり、モチベーションも維持しやすくなります。また、目標に合わせてリスク許容度や投資先を選定することで、効率的に資産を増やすことができます。定期的に目標を見直し、状況に応じて調整することも忘れずに行いましょう。
ルール3:ポートフォリオを作る
ポートフォリオの基本概念
ポートフォリオとは、複数の投資商品を組み合わせて構成する資産の集合体(資産のバランス)のことです。投資の基本はリスク分散であり、一つの投資先に全額を投入するのはリスクが高すぎます。ポートフォリオを作ることで、異なる資産クラス(株式、債券、現金、不動産など)に分散投資し、リスクを抑えながらリターンを追求することが可能になります。
例えば、株式市場が不調な時でも、債券や現金があることで損失を補うことができます。また、異なる資産クラスは通常、異なる経済状況で異なるパフォーマンスを示すため、分散することで安定したリターンを得やすくなります。ポートフォリオの具体的な組み合わせは、投資家のリスク許容度、投資目標、投資期間によって異なりますが、バランスを取ることが重要です。
初心者は、投資信託やETFを利用することで、簡単に多様な資産に分散投資することができます。自分の目標や状況に合ったポートフォリオを構築し、定期的に見直すことで、安定した資産形成を目指しましょう。
初心者におすすめのポートフォリオ例
投資初心者におすすめのポートフォリオは、リスクを分散しつつ、成長のチャンスを捉えるバランスの良い組み合わせです。以下の例を参考にしてください:
- 国内株式(20%): 安定した企業に投資し、成長を期待します。少額から始められる株も多く、リスクを抑えながらリターンを狙えます。
- 米国株式(20%): 世界的に影響力のある米国企業に投資し、高い成長を期待します。分散投資の一環として、海外市場にも目を向けましょう。
- ETF(20%): 株式や債券のバスケットに投資できるため、少額で多くの企業に分散投資できます。手数料も比較的低く、初心者に適しています。
- 債券(20%): 安全性が高く、安定したリターンを期待できる債券に投資します。リスク分散のために重要な要素です。
- 投資信託(10%): プロが運用する投資信託を利用し、さらにリスクを分散します。初心者でも手軽に始められます。
- 預金(10%): 生活防衛費とは別に、流動性の高い資金として預金を保持します。市場の変動に対する緊急時の対策になります。
このポートフォリオでは、リスクを適切に管理しつつ、多様な資産に分散投資することで、安定した成長を目指します。定期的にポートフォリオを見直し、自分の目標や市場状況に応じて調整することが大切です。
自分でポートフォリオを作ることも重要ですが、すでに決められたポートフォリオで運用される投資信託もあるのでそこに投資分をすべて入れるという方法をとることもできます。自分の性格や目的に合わせたポートフォリオの作成が重要です。
ポートフォリオ(資産バランス)については過去の記事でも触れているので興味がある方は読んでみてください。
ルール4:長期的な視点を持つ
投資において時間を味方につけることの有用性
投資において、時間を味方につけることは非常に有用です。時間の経過とともに、投資の価値は複利の力で増加します。複利とは、投資による利益が再投資され、元本とともに再び利益を生むことを指します。若いうちに投資を始めることで、この複利の効果を最大限に享受できます。
例えば、20代で投資を始めた場合、30年後の資産は驚くほど増える可能性があります。毎年少しずつでも投資を続けることで、元本が増え、それに対する利息や配当も増加し、結果として大きな資産形成が可能となります。
さらに、長期投資は短期的な市場の変動に対するリスクを軽減します。市場は短期的には不安定で変動が激しいことが多いですが、長期的には安定した成長傾向が見られます。歴史的に見ても、長期にわたって保有することで、短期的な下落を乗り越え、全体としてのリターンを享受できます。
時間を味方につけることで、心理的な余裕も生まれます。短期的な変動に一喜一憂することなく、冷静に投資を続けられるため、感情に左右されずに済むのです。したがって、長期的な視点を持つことは、成功する投資のために不可欠です。若いうちから投資を始め、時間を最大限に活用しましょう。
20代で時間を味方につけた投資戦略の例
20代のうちに投資を始めることは、将来の資産形成に大きな影響を与えます。ここでは、25歳の会社員を例に挙げ、月10万円を年利平均5%の投資信託に預ける戦略を考えてみましょう。
まず、25歳の時点で月10万円を投資信託に積み立て始めます。このとき、年利平均5%のリターンを目指します。このリターンは、長期的な成長を見込んでおり、市場の変動に左右されずに安定的な資産形成を目指すものです。
30歳、40歳、50歳、60歳の各年齢で、それまでに積み立てた資産がいくらになっているかを考えてみましょう。
30歳:約680万円(元本600万円、運用益80万円)
この段階ではまだ若く、将来の成長に期待ができます。
40歳:約2600万円(元本1800万円、運用益800万円)
この時点での資産額は、25歳の時点での積み立て額の約8倍に相当します。
50歳:約6000万円(元本3000万円、運用益3000万円)
この時点での資産は、40歳の時点での資産額の約2倍に相当します。
60歳:約1億1200万円(元本4200万円、運用益7000万)
この資産は、25歳の時点での積み立て額の約12倍に相当します。
【参考】金融庁のシュミレーション機能を使用(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/tsumitate-simulator/)
60歳で1億越え!?と思うと現実的な数値ではないような気がしますが、運用益5%は過去の投資信託の運用益から見ても非現実的な数値ではありません。
この投資戦略の例からわかるように、20代での投資は時間を味方につけることができる大きなメリットがあります。長期的な視点でコツコツと積み立てを行うことで、将来の資産形成に大きな成果をもたらすことができます。
ルール5:決めたルールを絶対守る
最後のルールは「決めたルールを絶対守る」です。
それってルールなの?と思う方が多いと思いますが、投資においては下落相場で不安になってしまって自分の決めたルールから逸脱した行動をとってしまうことや、今がチャンス!という気持ちになって生活防衛費に手を出してしまう人が多いのも事実です。
決めたルールを守ることで、投資の計画性が保たれます。例えば、リスク許容度や資産配分など、事前に決めた投資戦略に基づいて行動することで、感情的なトレードや無駄な取引を避けることができます。これにより、投資の成果が一貫して向上し、安定した資産形成が可能になります。
また、決めたルールを守ることで、冷静な判断ができる状況を作ることができます。市場の変動や他の投資家の行動に左右されず、自分の投資目標に集中することができます。その結果、長期的な視点で資産を成長させることができます。
しかし、ルールを守ることは簡単なことではありません。市場の動きや情報に惑わされ、ついついルールを破ってしまうこともあります。そのためには、堅固な意志と自己制御が必要です。自分のルールを明確にし、その重要性を理解し、常に自己規律を保つことが成功の鍵となります。
まとめ
今回は、投資をはじめる前の最初のルール作りについて考えてみました。「投資戦略」を考えると思うと難しく考えてしまう方も多いと思いますが、今回紹介したルールの1つ1つはそこまで難しくないと思います。
何の目的で何歳から投資をはじめるかによってとるべき戦略は変わってきます。自分の将来を具体的に想像して自分なりのルールをつくっていきましょう。